愛すと殺すと
きょうは撫で撫での日
◇◇◇
『私が思うにな、菅原は戻ってるんだと思うんだ』
月明かり。
千晶と二人っきりの保健室で、先生の言葉を反芻する。
『すなわち、昔のように慰めてやればいいってわけ』
んじゃ、なんて案外あっさりと行ってしまった。
昔のように、ねぇ…
「千晶」
名前を呼んでみる。
ビクッと臆病に反応した千晶に、死んでないとほっとする。
「もう千晶をいじめるやつはいないよ」
俺らが、倒したではないか――
「ねぇ千晶、大丈夫だか…ら…」
首の痣、ボロボロの体。
あの時の千晶の目と重なる。
――『大丈夫かっ』
――『お兄ちゃん』
――『今度は首も絞められ』
いろんな言葉を思い出した。
どれだ、どれが千晶を救った。
簡単だ、鳳紀の真似をすればいいじゃないか。
「っ、」
それで、喉が張り裂けたくなるほど叫びたくなった。