愛すと殺すと
「なあ、千晶。
お前…」
ぎゅう、と抱き締められた。
首に細い腕が回って、顔と顔が密着する
女の子特有の柔らかさに、胸がドキンと高鳴った。
「ねぇ、陽、愛してる?」
千晶は好き、千晶は大事。
否、
千晶が好き、千晶が大事。
義務感ではなく、本当に。
「あぁ、愛してる」
「ねぇ、陽?陽は消えない?」
「…?」
何を言ってるか、わからなかった。
でもそれを肯定と受け取った千晶は、満足そうに。
「だよね。
だって陽が好きなのは千晶だもん」
「…え?」
「忘れたの?」
「な、え?」
千晶が好きだから、消えない?
「好きな人が出来たら消えちゃうんじゃ」
「消えないよ」
抱き締めるのをやめて、また頭を撫でられる。
小さい手で、懸命に。
「千晶が好きなら、大丈夫なの。
あ、でも千晶以外を愛したら、死んじゃうよ?
だから――」
また、抱き締められる。
「陽は死なないの。
愛してるんでしょ?」