愛すと殺すと
「放課後の映画の事だけど。
先生に聞いたらあの英語のやつがオススメだと」
先生、英語。
そう聞いて顔をしかめる千晶。
「陽は先生の話ばっかりする」
そりゃあ千晶がいるのに千晶の話をするのはおかしいから。
「あと千晶はお勉強出来ないの」
それも知って…
「あぁ、わりぃわりぃ。
じゃあ日本語版にすっか」
コイツ英語が嫌いなんだった。
「うん!そーするー!」
俺はともかく、コイツは成績が極端に悪い。
英語を受け付けないのだ。
体が。
だから、英語の授業は受けないことにしてる。
図書室に本を読みに行ったり、花壇にお花を見に行ったり。
「そーいえば千晶のクラス、次英語なんだ」
「どこ行くの?」
「うーん…飼育小屋かなー」
別にそれを止める権利もないし、付き合う必要はない。
ただ
「なあ千晶。
お前山本先生んとこ行ってるか?」
提案したかった。
山本先生と喋ると、だいぶ圧迫感が消えるから。
千晶にも同じ気持ちになってほしかった。
「…なんで?」
千晶から笑顔が消える。