愛すと殺すと
「一昨日あれから飯食いに行ってさぁー、わんわん泣いて困っちゃったよぉー」
「先生!」
美澤は枕をぎゅう、と抱き締めて顔を隠す。
それでも枕からはみ出した目は、赤く充血していてうさちゃんになっていた。
1日挟んだのに。
「で、今日学校やけに朝早くきて保健室に居座るもんだから、訳聞いたら
『陽くんに会うのが気まずいから嫌だ。やっぱり帰る』
とか言ってなー?
そしたらそこに布留が来たから、ここに隠れてたってわけ」
「嫌だもぉ…本っ当に先生は…!なんのいじめなの!」
ぎゃあぎゃあ恥ずかしがる彼女に、少なからずショックを受けた。
一昨日はあんなにあっさりしてたのに。
なんでこんなに、まだ目元が赤いんだろう。
「ねぇ陽、この子目が赤いよ?何かあったの?」
「あっ…」
さすがに千晶を見て、罪の意識が芽生えたらしい。
若干気まずそうにして、気付く。
「な、治ってる?」
「あぁ、治ったみたい」
そんなに驚かれるのか。