愛すと殺すと


「千晶は陽に先生と会ってほしくないよ?
だって千晶の陽だから。

先生に取られるのは嫌だもん。

でも陽は、千晶に会えって言う。

陽は千晶とおんなじ気持ちじゃないの?

陽は千晶を取られたくないって思わないの?」



異常なまでの独占欲。



「陽は先生が好きなんだ。
そうなんだ」


「ちげーよ。千晶が好きだって」


「陽は嘘つきだから。

千晶に嘘ばっかり言う。


道を尋ねたら嘘言って千晶を騙したり
おやつが二個だったのに一個にしたり」


「悪かった、悪かったから!」


これ以上昔を思い出させちゃいけない。

その一心だった。



「…屋上に行こっか。
千晶の機嫌がよくなるよ」

「あ…」

その言葉で正気になったらしい。

「ごめん」

「うん」

「ごめ…なさい。千晶、陽困らせた」

「大丈夫だから」


頭をなでなでしてやる。


人を殺したときにはなかった罪悪感に、今この子は襲われてるから。


「嫌いにならないでね。

千晶は陽が大好きだから」


涙ながらに言う千晶は、必死だった。


「千晶には、陽しかいないの」


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