愛すと殺すと
「…そっか」
なら、いいんだ。
俺がとやかく言うことじゃないし。
「…皆はどーしてるですか?」
まだ俺の手を抱きながら。
「千晶は俺と一緒に暮らしてる」
「わぁっ、いいなあ!」
なぜか羨ましがられた。
「鳳紀くんは?」
心臓が、止まった気がした。
なんのことはない、自然な質問だ。
でも、だからこそ。
伝えるのが嫌だった。
「…お兄ちゃん?」
不審に思われちゃいけない、と思って。
「鳳紀は、死んだよ」
思ったより冷酷な声が出る。
「…し、死んだ?」
声が上擦り、今度はため息だった。
「……そっか。辛かったですね」
「蒲公英園のことだけどさ」
「知ってるですよ?」
「知ってる!?」
「NEWSになってて、ご主人様が教えてくれたんです」
伏し目になって。
「ご主人様かぁ…怒られちゃうな」
目がどんどん暗く濁って来た。
千晶が死んだ時に似ていて。
幸せじゃないのか、と推測するのは簡単だった、