愛すと殺すと
「千晶ちゃ〜んっ」
ダッシュで千晶に飛びかかるメイ。
「きゃぁああっ…助けっ陽ぉっ」
ぎゅうぎゅうと後ろから抱き締め、全力でほおずりをかます。
「千晶、メイだよ」
「メイ?メイって、あの?」
「そうあの。いいから退いてあげて、メイ」
「はぁい♪」
ようやく退いて靴を脱いだので、部屋へ案内する。
「繋がってるですか?これ寮ですよね」
「壁ぶち壊したやつがいて」
「危険人物ですよそいつ!」
かもな。
「ん」
じっと俺らを見ている千晶に気づく。
「千晶、ただいま」
手をさしのべてやると、パァ…と顔を輝かして。
ぎゅう、と胴体に抱きついてきた。
「おかえり、陽!」
嬉しくて仕方ないみたいに、顔を綻ばせる。
「ご飯は食べた?」
「まだ!学食食べるんなら陽のご飯がいいもん」
「じゃあ今から作んな?
メイもそれでいい?」
「あ…いいのですか?」
部屋の隅にちょこんと座るメイに、聞くと意外そうな顔をした。
「食べてないんだろ?むしろなんでダメなの」
「あ、いえ…その、なんでもないです」
変なやつ、と思った。