愛すと殺すと
「見つけたぁあああああっ」
首もとに抱きつき、きゃいきゃい騒ぐ。
お兄ちゃんの匂い。
髪の毛からシャンプーの匂いもしたけど、謎の女物なので却下。
「くんくんくんっ」
もっと嗅ぎたいけど、敵が来たらいやだからお兄ちゃんを引っ張る。
「逃げるです!」
「は!へ?ほ?なっ…」
隠れられそうな場所を探すと、校舎裏っていう、ご主人様が言ってた「告白の名所」に向かう。
「肌質が違う」
「え?何を言ってるですか!?」
何を言ってるんだお兄ちゃんは。
とりあえず座るです、と命令して座らせる。
命令なんて久しぶりでちょっと嬉しい私だ。
「やっと会えましたっ」
面と向かうと愛しさが増す。
肌触りに瞳に感情に。
全部が全部お兄ちゃんで、
嬉しくて仕方がない。
「お兄ちゃんっ」
優しくて、かっこよくて。
感情そのままに突っ走って、雲みたいな彼は。
私の、お兄ちゃんだ。