愛すと殺すと
じゃなくって。
まず、謝らなくちゃ。
言いつけを守らなかった悪い子は嫌われちゃうかもしれないんだから。
「ご主人様っ…ごめんなさいです…
私、どうしてもお兄ちゃん達に会いたくなって…」
『け、怪我はないか?』
「ふぇ?」
思ったより優しい口調だった。
「あ…な、ないれす…」
『そうか、ならよかった…』
ホッとしたような声に、戸惑う。
「あの、ご主人様…怒らないのですか?」
『怒ってはいるが、それよりも心配した』
「あ…」
心配してくれたんだ。
その事実に胸が震える。
申し訳ない、よりありがとうの感情。
嬉しい。
愛されてるって事実が胸に染みた。
「ありがとうございます……」
『俺はここではごめんなさいだと思うが…なぜありがとうなんだ?もしかして心配してくれて〜とかそんな感じなのか?それなら間違っているぞ。俺はメイを愛してるのであって、いつも監視下におかねば気が落ち着かないのだ。そのメイが消えたとなれば心配するのも当然だし、ましてや男に会いに行ったとなればなおのこと。意味がわかるかい?しかし…よくメイは自分で行けたな。追手もいただろうし、電車に乗ればつかない場所だろう?』
「あ、歩きました」
『…監禁しているのにその体力はなんなんだ…』