愛すと殺すと


「えっ…」


いきなり、隣のお兄ちゃんが言葉を発したのだ。

ちょっと狭いからよく聞こえる。



まさ、か――



「あのねー、今日ね!間の休み時間に陽が自分できた!」

「あれはコンパスを借りようと…」

「でも来てくれたもんっ!
あとね、今日先生のとこに行かずに二人きりだった」

「ここに来てヤンデレ発揮か」


当たり前のように進めている会話に、胸がじんと暖かくなった。

うそだ、なんで、まさか、ずっと?


「陽は?」

「俺は――」


ぽん、と頭に衝撃が走る。

暖かくて大きくて。

お兄ちゃんの手。



「メイが来たこと」



「ぅ、…」


ごめんなさいご主人様。

なんだか私、急にここに住みたくなりました。

だって、私にはやっぱり――


愛してくれる家族がいましたです。


一緒にいたい、愛されたい。

あぁ私はわがままです…
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