愛すと殺すと
めでたしめでたしで終わった先に何があるのか。

嫌な現実味を帯びていなく、お子さまにはちょうどいい感じ。


しょせんはフィクション。


ハッピーエンドなんかこの世にはないなんてことを言えば、夢と空想の世界が弾け飛ぶ。

だからこのくらいが現実逃避にはもってこいなんだ。


映画館を出て、周りのお店をぶらぶら。

なんとなく聞いてみる。


「面白かった?」


「うん。カトリーヌが可愛かった」


あれ、カトリーヌって亀じゃなかったっけ。


「ご飯何食べよっか」

「かめ」

か…

「釜飯の略だよー」

「略すなよ…」

「えへへ、愛してるよ陽」


なんの脈略もなくそう言う千晶。

さあなんて返せば愛情が伝わるか。

そう思案してると。



「布留…くん?あ、やっぱり布留くんだ!」



背後からそんな声が聞こえた。


振り返ると、千晶とお揃いの服を身につけた女子高生。

イコール、うちの学校。

「…」


えと、誰?


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