愛すと殺すと
「みぃ?どうかした?」
「帆音ちゃん…あの人、だ、れ?」
声が震えた。
あぁ嫌だ、こんな女に弱音なんて見せたくないのに。
「え?…あぁ、あの人…」
冷めたような目に、訳ありだと一瞬でわかる。
「あの人ね、うちのクラスの問題児。布留陽紀
で、まとわりついてんのが…えと…菅原千晶だ、そーそーッ」
「うちのクラスなの!?」
全く覚えがない。
教室にあんな暖かい目をした人がいたっけ?
「一番後ろの席の、ボッチで…いるじゃん!
毎時間彼女が来る!」
「…あ!」
わかった。
毎回10分間休みに彼女が来ていて、きゃいきゃいやっている、あの。
「あんな目してたんだ…」
呆然とした。
今まであの目に気づかなかったなんて。
欲しい、あの目が。
「二人は付き合ってるの?」