愛すと殺すと
授業中。
目が悪いからということで前の方の席に座る私は、後ろの席の布留陽紀くんの存在を振り返ることで確認した。
見事にボッチである。
完封なきまでのボッチぶりに感心した。
「……」
教室は群れの集まりだ。
女子は当たり前だが、男子でさえも群れの一員である。
「俺は群れないぜっ」とか言っても、30〜40人を個性の知らない人間に枠組みされて束ねられ、教室という空間に放り込まれる。
それを義務としていて、当たり前に受け入れてることを群れてるというのでは、と私は思う。
だって人間社会に加わってるんだから。
そう、その点で言えば彼も私も群れているのだ。
なのに、どこかが違う。
喉に小骨が引っ掛かったように、何かが気になる。
彼の、何かが。