愛すと殺すと
◇◇◇
最近、ローファーを買い換えた。
そのせいで靴が馴染まず、まだ固くて歩きづらい。
固いからカンカンと小気味いい音がなるのは利点だけど。
そんなことを思いながら、目的地に向かう。
理由は簡単、早く履きたいから。
「…ちっ」
こんなことしている暇があったら、ローファーを履いて髪を降ろし、眼鏡を外して世界をこの目でみたい。
学校は狭くて窮屈な群れの中だから、自分を出すのは嫌だ。
辛い。
自分は汚いから、見られたくない。
でも、汚さは自己主張が激しいから出たがる。
出せない学校は好きじゃない。
やがて、一階の階段につく。
保健室に近い、言っちゃ何だけど寂れた。
人があまりとおらないのだけが利点の、埃っぽい寂れた場所。
だから私が『話があるからどっかで話そう』という彼に、ここを指定した訳だけど。
「あ、来てくれた」
放課後、話があると呼び出した彼――浅間が階段に座っていた。
「…呼ばれましたから」