愛すと殺すと

【今日会おう。9時に牛丼屋の前の公園で待ってる】


イライラする。


「さわ、られたっ…」


気持ち悪い。


「し、かも」



汚いと言ってしまった。



学校では群れに入るために猫を被る。

眼鏡をかけて、髪を結って。

汚さを隠したくて清純を装う。


なのに、ついでた本音。


自分自身を見られるのが、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い…


ローファーはやっぱり固くて、カツカツと音がなった。

でもそれにもイライラして。



「陽、早くお部屋帰ろ」



ふとそんな声が聞こえた。

昇降口を出てすぐに、二人の生徒の姿が見える。

一瞬で理解し、目が離せなくなった。


「ん…ちょ、まっ……靴はけてねえの、まだ」

「遅いー!千晶を一人にするなー!がぁー」

「噛むなっ…いっ」

「あ、ごめんね痛かった?ペロペロするね?」


靴紐を結んでいる彼の腕に噛んだり舐めたりする女。


「運動靴嫌だ!陽が千晶を見てくれなくなるもん!

ザクッてするから脱いでね」

「あー…もう、ちゃんと好きだから好きだから。な?」
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