愛すと殺すと
なんだ、この気持ち。
イライラして、ぐちゃぐちゃにされる。
心が解体されるような、怒りと空虚。
まるで、心がプレス機にかけられたように、ゆっくりとぐちゃぐちゃに潰されて――
頭をぽんぽんと撫で、にこにこと笑う。
「千晶、イライラしたなら靴じゃなくて俺を殺せよ」
「…むぅ…それならいいよ、合格」
「(…また、あの目)」
優しい優しいあの目。
ジェットコースターに乗ったときのようなふわっとした心の空虚感。
ついで、またいらつき
「…ちっ」
見てたくなくて、逃げるように通りすぎる。
彼の青色の運動靴が目に入り、あぁにあってる、そう思った。
彼女が手にしたカッターを、包むように受けとる彼。
それでいい。
靴をぐちゃぐちゃにするのはもったいないから。