愛すと殺すと

が。

今日はおかしかった。



ベッドの上で愛撫されていた時、急に嫌になったのだ。


冷めた、というか。


熱のままヤっちゃえば終わるのに、舌を這わす彼を見たら冷静になってしまった。


汚い、心のどこかでそう思ったらやめられなかった。

汚い汚い汚い…っ

顔をつい歪ましてしまい、でもそれが彼を欲情させたらしく、よりいっそう舌を動かす。


――もう舐めないで、汚い。


「どーした?今日全然濡れてない。まさか不感症?」

「…冷めた」

「はぁ!?」


さすがに理不尽か、と頭で考え。

今度は、彼を私が押し倒した。

形勢逆転である。


「だから今日は私がやるよ」

「マジか、ラッキー」


ニヤリ、と嬉しそうに笑った彼を見て。


触りたくない、汚いと。


心が軋んだ。



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