愛すと殺すと
◇◇◇


そのあと、居酒屋になぜか私はいた。


目の前にずらっと並ぶ料理に、目を丸くしてしまう。

皆オツマミなんだけど、それよりも無理矢理連れてこられた場所が此処という事実に。


「せ、せんせ?」


「食え。不味くはねーはずだ」

「や、あの…なんで黒庵さんまで」

「アカネたんに呼ばれたから」

……。


状況が全く理解できない。


意図も理解できないんだけど。


戸惑う私に、先生は料理を進めるだけだし。

黒庵さんは先生にセクハラして殴られてるだけだし。


もう意味がわからない。


私としては早く家に帰りたいんだけど。


…食べれば帰れるのかな。

その考えに達し、割り箸を手に取る。

「…いただきます」

とりあえず、目の前にあったシーザーサラダを口に入れる。

野菜の感触を感じながら噛みきっていると、満足そうに見つめてくる先生を感じた。


「なに?」


「…私ね、一応カウンセラーなんだけどな。
ちょいとみぃに、診断をさせてもらうわ」

診断?

くいっとセルフで作ったジョッキの砂糖水を飲みながら、私を指差して。



「わかってんだろー?壊れてるよアンタ」



当たり前なことを言う。
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