愛すと殺すと
「失礼しまーす」
開けると薬品の匂いが鼻をつく。
「お、布留!」
中からは嬉しそうな声。
たぶんまた文机に向かってるんだろうな。
「……」
千晶は無言で俺の背中に隠れる。
…ったく。
「先生ー、今日は千晶「あー!」
言う前に気づいたらしい。
パタパタとサンダルで駆け寄ってきて、
くちをパクパクさせた。
「あ…え……うそ、は?」
「紹介するね、先生」
「知ってるわっ!菅原なんでここにいんの!?いや、来てくれてありがとー!」
「……」
ぎゅ、とブレザーを掴む。
伸びちゃうから止めてくれ。
「……別に、先生のためじゃないし…」
「え?なんだって?」
聞こえなかったのかしつこく聞いてる、嫌われるよ。
「先生、千晶が怪我したんだけど」
「あー、だから来たの。
おいで、どこ怪我した?」
とたんに保健室の先生になって、ベッドに座るよう促す。
「え…」
ベリッと絆創膏を剥がす。
スプラッタな光景が広がり、先生が驚いていた。
「女の子なのに…どうした?」
「……」
まだ血が乾いてないそこは、俺も直視したくない。