愛すと殺すと
◇◇◇


反省点を振り返るのは大事なことだ。


そこから改善の余地が生まれることもあるから。


そう、だから――



「反省」



柱に手をおいて、典型的な『反省』のポーズ。

教室へ戻る途中の中央階段の柱は、大変迷惑そうだ。


「…陽ー?何してんの?」


俺の柱じゃない方の腕を抱いて、スリスリ頬を寄せている千晶。


とても保健室で女のバトルを繰り広げていた女とは思えない。



「自分のことを考えなかったから」



よく考えてみた。


だって俺が考えなかったせいで山本先生に迷惑かけた。



考えさせてしまった、俺のこと。



だからあんなに気にかけてくれてたのか。


自分のことを考えろ、と。


思い当たる節がないといえば嘘になる。


随所随所にヒントをポロポロ落としていた。



死なないで、とか。



「…嫌いなんだよ、あの先生

絶対に陽のこと好きだって」


「バカ」


む〜…とほっぺを膨らます千晶。


柱と涙のお別れをして階段を登り、教室の目の前につく。



「さて千晶。

離れてくんないかな」


「嫌だ。

山本に盗られたくないもん」


盗られません。


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