愛すと殺すと

「もー、大丈夫だからさ」


「大丈夫じゃないのー」


「あー」

「いー」

「うー」

「えー」

「おー」

キーンコーン


バカなことしてたら鐘がなった。


あと二回なったらHRが始まる。



「…ほら、鳴ったから」


「むー…」


またほっぺを膨らます。


仕方なく、とか、渋々、といった具合で離れ、ご機嫌ナナメなまま隣の教室へと消えていく。


よし、入った。



切れた手が右手だから、ちょっと心配。

あぁ過保護だなあ、おれ。


勉強できるかな…しないけどあの子。



「布留くん」



代わりにノートでも取ってやろうかな。


てかあの子いっつも教室で何してんだろ。


寝てる?

いや、この教室のうるささでは寝れねえな。


「布留くん」


じゃあ読書?

いやいや、そんなわけ…


「布留くん!」

「わっ」


椅子に座って考え出した俺の前に、女子の制服が飛び出てきた。


誰かと思った。

知ってる人だった。




「…何回も呼んでるのに、布留くんったら…」





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