愛すと殺すと
それぞれの作戦
◇◇◇
ガヤガヤと相変わらず煩い喧騒に包まれながら、いつもの文句を口にする千晶。
「陽、愛してるよ!」
嬉しそうに言うが、今は朝っぱらである。
教室の前でいつもの儀式。
それは2月に入っても変わらなかった。
「ねえ陽、浮気しないでね?」
「はいはい」
「あとお昼、御約束ね?」
「あ、昼はちょっと先生に呼ばれてて…」
む、と明らかに機嫌が悪くなる千晶。
「千晶も一緒に行こう?」
「…でも…」
「大丈夫、千晶はいい子だろ?」
「…ん」
尻尾が垂れてるのが見えたから、頭を撫でてやる。
「あーん、してね?」
「よしきた」
「へへ、陽大好き」
満面の笑みを見せられる。
キーンコーンと鐘がなり、あと二回でHRが始まることを告げた。
「じゃあ、千晶」
「じゃあね」
名残惜しさMAXで別れた千晶を尻目に、教室に入っていく。