愛すと殺すと
と。
「布留くん!」
パタパタと一人の少女が走ってきた。
美澤だ。
2つに結んだ髪を揺らしながら、一目散にやってくる。
「布留くん、おはよう!」
「……はよ」
朝から眩しさ前回の笑みで俺を迎えた。
2月に入っても変わらない、こいつの態度。
一回泣かれたことから慎重にご退場願うようにしてるが、本人全く気にする様子もなく。
べたべたべたべたくっついてくる。
はっきりいって、ウザいしか感じないけど、まあ好意のつもりなんだろうし。
「布留くん、今日は寒いね」
「……」
「ホワイトバレンタインになるかもしれないんだって」
「……」
「あー、この寒さで体育はちょっと嫌だなあ…」
「……」
キーンコーンと鐘がなる。
あとひとつ。
「ねえねえ、布留くんは彼女さんにチョコもらうの?」
「チョコ?」
反応した俺が嬉しかったのか、目をキラキラ輝かせて。