愛すと殺すと
「先生?」
「いや、なんでも…忘れて?」
じゃあ忘れようとバカ正直に俺は、パタンと扉を閉めた。
たぶん千晶が俺に会えないのに怒ってるんだろうなあ、なんて心の端で考えながら、歩を進めた。
教室に戻ると案の上お怒りの千晶さまをなだめ、授業が始まるからと逃げた。
キーンコーンと開始を告げる音。
と。
「…ふ、布留」
震えた声が隣から聞こえた。
「…?」
「…あの、これ…美澤さんから」
隣に座る女は、がくがくと震えながら俺に紙切れを渡す。
「ああ…どうも」
受け取ろうと手を伸ばし、
「ひいっ」
少しだけふれてしまった。
「ごめん」
「だ、大丈夫…」
ここまでビビられてる俺は、一体クラスの連中にどう思われてんだか。
まあいいや、と紙切れを開けて中身を確認。
「……」
ぐちゃぐちゃに丸め込んで、そこのごみ箱にIN☆しちゃいたい衝動にかられる。
『彼女さんに、週末チョコの作り方教えに行くって言っておいたよ☆
OKだって!
彼女さんとも仲良くなりたいなあ…』
俺、死ぬのかな?