愛すと殺すと
「おいしーね、これ。
陽のおにぎりに匹敵するくらいおいしー。
購買のおばちゃんやるなあ…」
「千晶、たぶんこれ包装されてるし、業者だと思うんだよね」
「そーなの?」
上目使いで俺を見てくる千晶。
もはや指定席のベッドに座って、結構広い幅なのにベタベタベタベタくっついてくる。
「お前ら…」
書類を今にも破きそうなほどに握りしめ、がたんと向かいに移動した文机から立ち上がった。
そして奥の冷蔵庫に行って何かを取ってきて、隣のレンジでチン☆する。
30秒くらいで戻ってきて、文机に何かを置いた。
「ほれ」
ドヤ顔で置いたのはお弁当箱。
レンジでくにゃりとしないタイプのやつで、中身は一面おにぎりで埋め尽くされていた。
「唐揚げ」
どうやら先生はこれと唐揚げを交換したいらしい。
カップに入ってる、システムが某青いコンビニにクリソツな唐揚げを差し出し、お弁当箱から一つおにぎりを取り出す。
パクっと食い付き、もちもちと食む。
「……」
「どうだ?うまいだろ」
得意げな先生。
「…う、まい…」
「だろー?」
そのおにぎりはビックリするぐらい美味しかった。
塩加減からお弁当なのにパリパリの海苔、米のふっくら加減まで。
全てが見事に計算され尽くしていた。