愛すと殺すと
ん…?
土曜…?
「あー!」
ヤバイ!
俺は大変なことを思いだした。
「ど、どした?」
「陽?」
突如大声を出した変人に、妖艶で料理上手な旦那を持った中年教師と、ヤンデレで唐揚げをあむあむしてる甘えん坊さんがビビる。
「…千晶、美澤さんと約束したのって週末だっけ?」
「うん、土曜だっけか…」
覚えてないというか聞いてなかったのか、おぼろ気だ。
「俺バイトだわ」
「えっ?休んで」
「息を吐くように言わないの。社会人にそれは無理」
「やだー!千晶二人っきりやだー!
陽は千晶が見知らぬ人間と密室で二人っきりなの嫌じゃないの?
嫉妬しないの?」
足をバタバタさせてよくわからないことを言い出す。
「嫉妬ってゆーか不安…」
「そうでしょう!?」
美澤さんが。
包丁持つだろうし、千晶が切っちゃ和ないか不安だ。
「嫌だ〜嫌だ〜」
そう言われてもなあ…
「菅原、大丈夫だろ。美澤はそんな悪いやつじゃねーって」
「陽嫌だー」
先生の助言を空気にして、俺に必死に訴えた。