愛すと殺すと
破壊って創ることとか言うけど、気づくことでもあるよね。
◇◇◇
紺の上着を羽織ながら、玄関に向かう。
素敵な旦那を持つ誰かさんのおかげで、無駄に二個ある玄関。
ちなみにキッチンもトイレも二つずつある。
本当に撤去工事もなんもせず、ただただぶち抜いただけなのだ。
「……千晶」
きゅ、と服の袖をさっきから掴んでるうちの子。
「離して?ね?」
「…やぁ」
「やぁってあのね」
振り返った千晶は、いつもより少しだけおしゃれを『させた』
だって人来るし。
おしゃれについて、全くと言っていいほど興味がない千晶。
だけど、俺に愛されたいと言う思いからか、私服はかなり可愛い。
あくまで『本人』の意思ではなく、俺のため。
小さい頃のセンスはかなりよかったから、あのまま育っていれば、きっともっとおしゃれだったんだろうけど。
千晶が好きな、名前がわからない花が散ったワンピース。
白いふわふわのカーディガン。
可愛らしい外見にピッタリの服だ。