愛すと殺すと
不安でいっぱいの顔に、かなりの罪悪感が生まれる。
今日は土曜。
俺はこれからバイト先の牛丼屋に向かわねばならない。
あれから必死に美澤さんを説得しまくったんだけど、「彼女さんに会いたいんです〜」とか言われて全く相手にしてもらえなかった。
…木曜から、この2日で何回千晶に殺されかけたか…
腕の絆創膏を無意識にさすりながら、涙を飲む。
俺がでかけて10分後くらいには、たぶん来るだろう客人を、ありえないくらい拒否してる。
…ならなんでOkしたんだよ。
本人と美澤さんいわく
『彼女さーーん』
『…なんですか?』
『彼女さんって、バレンタイン知ってます?』
『…知ってます、手料理の日』
『……間違ってるような間違ってないような?チョコの日ですよ!』
『はー(このあたりからどうでもよくなってる)』
『布留くんに作ってあげたくありません?チョコで布留くんのハートを掴め!ですよ』
『へー』
『賛成ですよね!週末…土曜、教えに行きますよ!』
『はー』
『Okですか!材料とか用意しておくんで――寮ですよね、たしか』
『へー』
『じゃあ彼女さんと布留くんの寮に直接行きますね!時間は布留くんを通して伝えますから』
『はー』
『でわ!』
……なんていい加減なんだ、色々。