愛すと殺すと
◇◇◇
千晶は昔から従順だった。
「ちーあきっ!大丈夫か?」
俺は傷だらけの千晶に駆け寄った。
綺麗な長い髪はボサボサで、顔には無惨なアザがちらほら。
腕は変色するぐらい握られたのか、腕の形がくっきり紫でついている。
唇はガーゼで治療しても足りないぐらい血が滴っていて、これが小6なのかと悲しくなる。
いつも猫みたいに甘えてくる千晶とは思えないくらい暗くて、天の岩戸に閉じ籠った天照を思わせた。
「…また、やられたのか」
「らしいな」
さっきから鳳紀が背中を擦っているが、嗚咽は止まない。
お勤めに出掛けた千晶は、最近ボロボロになって帰ってくる。
理由は、ある外人のせいだ。
その外人は千晶を抱きながら暴力を振るう。
殴ったり、叩いたり。
そいつは千晶をボロボロにし、自分だけ楽しむのだ。