愛すと殺すと
これで、5回目だ。
しかも段々ひどくなっている。
「陽、今回は首も絞められたらしいんだ」
「ま、マジかよ…」
淡々と語る鳳紀の腸は、煮えくり返ってるだろう。
そういう奴だ。
「…お兄ちゃん」
すりすりと猫みたいに兄に甘える千晶。
「千晶」
少しだけ笑いながら、頭を撫でる。
「鳳紀、これはマザーに言った方が…」
「言ったさ。だが、無駄だったのはわかるだろう?」
「っ…」
マザー。
この『蒲公英園』の、自称“母”
本名は知らない。
醜く肥えていて、女というより人間かどうかを疑ってしまいたくなる。
その非情さ故だろうか。
泣けば罵り、反抗すれば殴り飛ばす。
これが、小学生や中学生に対する態度か。
4歳の頃から続けられる迫害にはもう慣れた。
「……くっそ…」
「陽、怒らないで?千晶は怒ってないから」
こてっとその可愛らしい小首をかしげる。
拍子に髪に隠れてたアザが見え、余計にむかついた。