愛すと殺すと

その日の夜。

夜遅くに女の匂いぷんぷんさせながら帰ってきた俺。


一室しか与えられていない子供部屋に、仲良く体を並べて。

二人はもう寝ていた。



匂いを落とすために入ったお風呂から上がり、子供部屋に戻る。



「上がったか」



部屋着に着替えていた鳳紀がなぜか起きていた。


「鳳紀、起きてたんだ?」


「いや、寝てたんだがね、誰かが乱暴にドアを閉めてくれたから、起きた」


「ご、ごめん…」


そんなに乱暴だったかなあ。



「座れば」

「あ、あぁ」


罪悪感を押し殺しながら、千晶の横に座り込んでいる鳳紀の横に座る。

まあ当然、地べた。


「仕事、どうだった?」

「どうもこうも…」

「相変わらずか」


ははは、と笑う鳳紀。


「そーいやあ、鳳紀受験どーすんの?」

「んー…行きたいとこならある、けど…」


「けど?」


「私立だから」


なるほど…

私立に金出すような人じゃないもんな。


「そもそも高校いかせてもらえるかもわからないからな」


悲しそうに笑う、鳳紀。
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