愛すと殺すと
「盛んないの?」
食いつくとこそこ?
「盛んない」
まずその行為事態、体が受け付けない。
「たまんないのかねー」
「全く」
「先生やってあげよっか」
「本当に止めて」
白衣を脱ぐな。
逆セクハラ先生に呆れながら。
「でもまあ…確かにあんたらにそーゆーえっちなのは無理か。
何年だっけ」
ガーゼやらを貼り終わり、包帯をくるくる巻いてる先生が憂いげに呟く。
「5年…だな」
「そっか」
くるくる巻くのをやめて、テープで止める。
ぱちんっとハサミでテープを切ると、そのテープを持った手で頭を撫でられた。
「…まだまだ忘れられないよな…」
あぁ
忘れられない。
「ご両親とはうまくやってけてる?」
「うーん…まあ、つかず離れてる感じ」
「だめじゃん。何?嫌いなの?」
「嫌いじゃないけど…」
皆さんいい人だ。
でもどうしても他人行儀になる。
だって他人だから。
「…そう」
悲しそうに言った山本先生は、そのまま机に向かい何かを書きはじめた。