愛すと殺すと
「今日、恋をしたんだ」
「………」
は?
「聞こえなかったのか?
僕は今、恋愛のことを「えぇええええっ!?」
ようやく出た声はでかかった。
「五月蝿いぞ」
むっ、と言うように口を尖らせた。
「あっ…」
そっか、千晶寝てるんだっけ。
じゃなくて!
「僕だって人間さ、恋愛の一つや二つするさ」
「いや…まあそうだけど…
…あんまりにも事無さげとゆーか…
…シスコンも恋愛をするんだとゆーか…
…いきなりとゆーか…」
「理由が多いな、そんなに意外か」
ちょっと悲しそう。
「相手は!?誰!?」
「年下…陽と同い年」
「中学は?どこ?」
「…バレーの遠征で行った、中高一貫校」
「お嬢様なの?」
「…たぶん」
だんだん弱気になってる鳳紀が面白かった。
そこで気づいた。
「……鳳紀が行きたい私立校って…」
まさか、まさかまさか!
ギクッと肩を強ばらせ、まいったというように頷いた。
「…うわあ、恋する乙女やん」
「五月蝿い」