愛すと殺すと
「明日の朝刊が楽しみだな」
「も、もう連絡したのか?」
「お前らが準備している間にな」
市川。
ずっと俺を愛してきたその存在。
不思議と、悲しいとかの感情は一切なかった。
ただ、鳳紀の手際のよさに感心していた。
「で?その親戚って?」
千晶がやけにワクワクとした様子で聞く。
まるで遠足にでも行くように。
子供じみた、キラキラした目で。
「僕らの母親は、養女だったらしいんだ。
母親は、小さい頃に実の母親を失っていてね。
強制的に母親は母親の妹の子供にさせられたらしい。
でも、ま。
すっごい母親は、その妹と妹の娘に嫌われていてね。
そりゃあまあネグレストと言われても良いくらいの生活を送ってきたらしい。
母親は家出をすることで逃れたんだ。
だからまあ、絶縁状態もいいとこ。
保健所側もそんな場所に僕らを放り込む訳には行かないと、配慮をした結果がこれだ」
つくづくついてないなあ、と肩をすくめる。