君といる幸せ



「……創…淳平…」

「あいよ。正面に車回してくる」

「あぁ、頼む」

「じゃぁ、俺は電話してくる」

「悪い…」








奏大の一言で創と淳平は動き出した。








「奏兄、まさか出掛けるの?」

「あぁ…」

「何で!?花菜がこんな状況なのに、心配じゃないの?」

「…花菜に辛い思いをさせたのは俺のせいだ。花菜が目を覚ますまでには、安心して過ごせるようにしてやりたい」

「奏兄…」

「花菜が目を覚ましたら連絡を貰えるか?」

「わかりました。……奏大くん、すみません。俺がちゃんと花菜に話してれば…」

「いや、律のせいじゃない。気にするな」








そう言うと、奏大は出掛けてしまった。





取り残された4人は、会話することなく、花菜の病室に移動した。









「花菜…」

「律、大丈夫よ。花菜は強い子だもの。昔みたいにはならないわ」

「……」

「信じましょう。花菜が早く目覚めることを」

「……あぁ」








しかし、皆の願いとは裏腹に、面会時間ギリギリまでいたが、花菜がその日に目覚めることはなかった。






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