君といる幸せ
「いやいや、そんな表情をしても、意味わかんないから…」
「何でだよ…」
「お姫様が律のことをヒーローだと思ってるのはわかった。だけど、それがどうしてお前の気持ちを伝えないっていう結論になるんだよ?」
「昔から、ヒーローは夢を壊しちゃいけないっていうだろう?」
「…それって戦隊物のヒーローのことだろう?」
「そう。それと同じで、柚が俺のことをヒーローだって思っている間は、俺が柚に好きだって伝えちゃダメなんだよ」
「何だよ…その理屈。意味わかんねー。結局は振られて傷つく自分が嫌なんだろう?」
「……そうなのかもしれない」
「お前な~…」
「良いんだよ、俺はこのままで」
「律……」
それ以上、律が何かを語ることはなかった。
隼大もこれ以上律に何を言っても無駄だと判断し、何も言わなかった。