君といる幸せ
あれは3週間前のこと。
いつものように柚姫が第二保健室に向かっている時であった。
柚姫は廊下で立ち話をしているあかねとその友達の話を、偶然にも聞いてしまったのだ。
「あかね、 結婚するって本当?」
「えぇ、プロポーズされちゃった」
「良いなぁ~…」
「この幸せ者めっ!」
「だって律くんが…でしょ?」
「雨宮あかね…。その響き、良いなぁ~」
「本当に羨ましい」
「律くんは何て言ってるの?」
「律?…まぁ、前から決まってたような物だし、別に特に何も言ってなかったよ?」
「えぇー!じゃぁ、律くんは認めてるってこと?」
「まぁ、元々幼馴染の関係だし、兄妹同然で育ってるからね~…」
そのような話を偶然聞いてしまったのだ。
所々、聞こえない部分もあったが、何も知らない柚姫にとってみれば、内容が内容なだけに、ショックな出来事であった。
ショックを隠しつつも、いつも通り第二保健室へ行くと、その日に律からクリスマスに一緒に過ごそうと言われ、柚姫は頭の中が混乱してしまった。
しかし、それを言ってしまえば、今の関係が壊れてしまうと思い、柚姫は律に聞くことが出来ないでいた。