君といる幸せ
「もう遅いんです。私ではダメなんです」
「そんなことないと思うけど…」
「慰めて頂かなくても大丈夫です」
「けど律は…」
「律先輩が好きなのは嘘偽りない思いです」
「だったら律にその思いを伝えた方が…」
「………」
隼大の言葉に、柚姫は首を横に振った。
「怖いんです…。私が気持ちを伝えたことで、律先輩との関係が崩れてしまうのが…」
「お姫様……」
「それに、私なんかが気持ちを伝えた所で、現状は変わりません。それなら、私は律先輩の幸せを願います。私なんかが掻き回したらいけないんです。………だけど、私の我が儘ですが、律先輩が卒業するまでは、今のままの関係に甘えられたらって思ってます」
「……それってどういうこと?」
「……あかね先輩……結婚するんですよね?」
「ん?あぁ…」
「あかね先輩と律先輩にお幸せに…とお伝え下さい」
そう言うと、柚姫は泣きながら屋上を走り去った。
残された隼大には何が何だかわからずにいた。
「律はわかるとして、何であかね?…訳がわかんねー…」
柚姫の言葉の真相がわからず、隼大は頭にクレッションマークを浮かべていた。