君といる幸せ
「今すぐ柚が作ってくれたお菓子を食べたいんだけど、さっきここに来る途中、うちの担任に会ったんだ。そしたら、もうすぐ施錠するって…」
『まもなく、校内を施錠します。まだ残っている生徒は、速やかに下校しましょう』
「なっ?」
タイミング良く流れた放送に、律は苦笑いをした。
「ここで柚と過ごせるのも、最後なんだな…」
「律先輩…」
「柚、ありがとう」
「えっ?何がですか?」
「…さぁな。さて、閉じ込められる前に、帰ろう」
律は柚姫の質問に答えることはなかった。
それどころか、律は柚姫の手を取ると、初めて一緒に第二保健室を出た。
そんな律の行動に、柚姫は驚いてしまった。