君といる幸せ
「律先輩、良いんですか?!もし誰かに見られたら…」
「今日は卒業式だし、もう殆どの人は帰ってると思う。それに俺はもう今日しか登校しないから、最後の日くらいは柚姫と帰りたいな…と思ってるんだけど、柚はどう?まだ他の人に見られる可能性もあるから、嫌なら…」
「っ!律先輩と一緒に帰りたいです!」
「そんなに張り切って言わなくても…」
「あっ…すみません…」
律は柚姫の張り切り具合に、思わず笑ってしまった。
柚姫はからかわれたことで、顔が真っ赤になってしまい、恥ずかしそうに俯いてしまったのであった。
「ほら柚。帰ろう?」
俯いてしまった柚姫に、律は優しく声をかけた。
柚姫が顔を上げると、律はそのまま廊下を歩いて行った。
「律先輩と一緒に帰るだなんて、何だか変な感じですね」
「あぁ、そうだな」
「でも、これが最初で最後だなんて、何だか寂しいです…」
「柚姫…」
「今日の日のこと、一生の思い出にします!」
「一生の思い出は言い過ぎだろ…」
「そんなことないです。律先輩と過ごしたこの一年間の思い出は、一生の宝物です!」
「柚姫…」
柚姫の言葉に、律は表情はあまり変わらないものの、密かに喜びを感じていたのであった。