君といる幸せ
「律先輩…どこ行くんですか?」
「ん?…あぁ…特に何も考えてなかった…」
「えぇっ!」
「あの人集りの中から早く抜け出したいって思いが強くて、その辺はあんまり考えてなかった」
「そうなんですね…。それより、今日はどうしたんですか?」
「………」
「律先輩?」
「…ここで座って話をしないか?」
律はそう言うと、近くにあったカフェを指差した。
2人は中に入った。
中に入ると、店内は落ち着いた雰囲気で、それほど混んでいなかった。
「いらっしゃい。君がここに来るだなんて、久しぶりだね」
「…どうも。奥の席、空いてます?」
「あぁ、空いてるよ」
「じゃぁ、そこに紅茶と今日のオススメケーキを2つお願いします」
「かしこまりました」
「柚、行くよ」
律は柚姫の手を引き、奥のテーブル席へと足を進めた。
それから2人の間には、紅茶とケーキのセットが届くまで会話という会話がなかった。