君といる幸せ
「柚だけは、何もかも他の女達とは違っていた。手作りの物を食べたり、人混みの中柚姫が来るのを待ったりしたのは、柚が初めてだった。自分の意思とは裏腹に、勝手に体が動いていた。こんなことは初めてだった…」
「勝手に体が動いていた?」
「うん。信じられないと思うけど、柚姫に関しては自分の意思とは関係なく、勝手に体が動いていて、心と体が別々の人間みたいだった」
「そう言えば、初めてキスした時にもそんなようなことを言ってましたね…」
「うん。柚と手を繋いだりキスしたり、自分の意思というよりは体が先に動いていたんだ」
「……それは律先輩の意思ではなかったってことですか?」
柚姫は律の言葉を聞いて、悲しそうな表情をしていた。
そわな柚姫の表情に気がついた律は、柚姫の頭をポンポンと撫でた。
「そんな顔をするな。…まぁ、確かに自分の意思とは関係なく体が先に動いていたけど……だけど…それはただ単に俺の心が追いついてなかっただけなんだ」
「どういうことですか?」
柚姫は律の言っている言葉の意味が上手く理解出来ず、不思議そうな表情で見つめていた。