君といる幸せ
「いやぁ、雨宮さん。急に申し訳なかったですな」
「いえ、此方は大丈夫ですので、気にしないで下さい」
「そう言っていただけて何よりです。…紹介が遅れました。ほら、ご挨拶しなさい」
「一ノ瀬柚姫と申します。…あっ…」
柚姫は顔を上げた途端、目が合った人物に驚きを隠せないでいた。
そんな柚姫の態度に、父親である一ノ瀬康太は、眉間に皺を寄せた。
「柚姫…お前という奴は、お客様に対して何という態度だ。今すぐ謝りなさい」
「申し訳ありません…。まさか、この場に先輩がいるとは思わず、失礼致しました」
「先輩?」
律をはじめとするその場にいた者が、柚姫の言葉に驚いた。