LOVEFATE~理由~
私は通話を終えたばかりのスマホをギュッと握り、
自然と起こしていた体をまたシートに埋めた
電話を切り終えた今も、
緊張のような動悸がする
「まりえは、なんでAV女優になったんだっけ?」
踏み切りで捕まり、
社長はブレーキを踏み
シートに深く凭れている
カンカンカン、
と煩いくらいに鳴っている警笛
踏み切の遮断機が閉まり、
電車が通過している
「――大学浪人して、
また次の年も落ちそうだから、
もうAV女優にでもなっちゃえ、って。
面接の時、社長にそう言いませんでした?」
答えたのは、
電車が通り過ぎてから
すぐに踏み切りが上がるのかと思いきや、
逆方向からも電車が来るみたい
カンカンカン、と頭に響く音
暗闇に滲む、警報器の赤いランプ