LOVEFATE~理由~


もう、とっくに家の中に入っているはずなのに、

俊ちゃんは私の部屋へと上がって来ない



先程、窓から俊ちゃんと蘭子ちゃんの姿を見てから、

既に5分は経っているのに




私は床に座っていたが立ち上がると、

待ちきれずに部屋から出た



すると、微かに俊ちゃんと蘭子ちゃんの声が聞こえた



それは階段で話しているからか、

二人の声がここ迄響いている






「――蘭子、お前なんで兄貴に言うんだよ?」


それは、俊ちゃんの声



先程見た二人は楽しそうに歩いていたのに、

今はどこかギスギスとしている




「だって、黙っていたら亮ちゃんを騙しているみたいでしょ!」



「だからって。
今日、家帰って俺は兄貴にどんな顔して会えばいいんだよ。

言うなら言うで、
なんで俺に先に言わないんだよ。
いつもお前はそうだよな。
勝手で」



< 261 / 728 >

この作品をシェア

pagetop