LOVEFATE~理由~
「――俊ちゃん…」
すぐそこに、俊ちゃんが立っていた
え、とドアを支えたままの亮ちゃんの顔を見ると、
「俊太も、今日誘った」
そう言うけど、
きっと蘭子ちゃんの案なのだと思う
亮ちゃんも、それに乗ったのだろうけど
電話で話した時の蘭子ちゃんの様子で、
気付くべきだった
「英梨、嫌なら俺帰るけど…」
「嫌じゃないよ」
俊ちゃんも、蘭子ちゃんにはめられたのだろうな
こんな形でまた俊ちゃんと顔を合わせて困ってしまうけど
こんな形じゃないと俊ちゃんに会えないから、
騙されて良かったと思ってしまう
「そう。ならいいんだけど。
あ、それより、俺もドーナツ買って来たから、英梨も沢山食べて帰れよ」
そう、昔と変わらない笑顔で笑ってくれて
今、昔みたいに、
このまま俊ちゃんに抱き付いてしまいたくなる
それが、もう出来ない
胸が愛しさでギュッと痛くて潰れそう――