LOVEFATE~理由~
「私、あの時の英梨の気持ち、今なら分かるわよ。
自分のお腹の子を、ただ守りたかった。
それが、俊太の子じゃなくても」
「蘭子ちゃん、もしかして…」
思わず、蘭子ちゃんのお腹を見てしまう
蘭子ちゃんのウエストは、
昔と変わらずモデルのように細い
「うん。まだ8週目だけど」
その目元は、昔よりもとても柔らかくなったように見えた
「――けど、やっぱり蘭子ちゃんには分かんないよ。
蘭子ちゃんの子供は、大好きな人の子供だもん。
それに、全ての人から望まれて生まれてくるから…」
私と倉木さんとの間に出来た子は、
そうじゃなかった
私でさえも、愛しいと感じながらも、
この子さえ出来なかったら良かったのに、と何処かで思っていた
きっと、殆どの人から望まれず、その子は生まれて来ると思っていた
だから、その子が生まれたら、
私がちゃんと守らないといけないって思っていた
なのに、生まれる事も出来なくて、
私なんかよりもずっとその子の方が可哀想だった