LOVEFATE~理由~
「寮つっても、うちの事務所で借りてる部屋を又貸しってだけだが。
AV女優になる子は、
まりえみたいにワケアリが多いから」
思わず、成瀬社長の方を見てしまう
「そのわりには、
お前けっこう明るいよな?」
言われてみて、
私もそう思った
家に居た時は、もう本当に心が死んでいて、
誰かとこんな風に話す事なんて出来なかった
「――私、逃げたからでしょうね」
あの家から逃げ出し、
抱えていた苦しみや悲しみを捨てた
名前迄も、捨ててしまった
記憶が消えでもしない限り全ては捨てられないけど、
昨日、家を出てから本当に気持ちが楽になった
「ま、なんにせよ。
これからよろしく」
「あ、はい」
肩を強く叩かれて、
力強く頷いた