LOVEFATE~理由~
「――私、蘭子ちゃんがずっと、
コンプレックスだった」
「英梨?」
「私は蘭子ちゃんみたいに美人じゃなくて、
頭も良くなくてとかいつも卑屈に思ってて。
蘭子ちゃんの存在のせいで、私はずっと自分に自信が持てなかった。
蘭子ちゃんが私のお姉ちゃんじゃなかったら、
私はこんな思いしなかったのに」
家に帰って誰かと話す際、
感情的にならないようにと決めていたが
感情が言葉や涙になってボロボロと溢れて来る
「蘭子ちゃんは私よりも完璧だから、
そうやって簡単に大学に行けとか、
言うんだよね。
AVも、そんな仕事とか言うけど、
私からしたら、そんな仕事じゃないのかもしれない」
自分に罰を与えるように辛い仕事を選ぼうと、
AV女優を選んだけど
実際、私には他に選べる選択肢なんて限られていた
高卒で女の私に、
今の中途半端な時期に就職するなんて、難しかっただろうし
もし、就職しても、
一人で生きて行けるそれなりのお金を稼げるなんて出来なかった
それに、もし、また受験をしたって、
私なんかが大学に受かる訳がないような気がしてしまう