LOVEFATE~理由~
「それ、解約してないの。
まだ使えるから、英梨持って帰ってよ」
「解約してないって…。
3年も無駄に料金払い続けて、もったいない」
元々、この携帯電話の料金は親が払ってくれていた
名義は、私になっていたけど
本人じゃなくても、保護者ならば解約出来るだろうから、
さっさと解約しといてくれたら良かったのに
「英梨が、いつ帰って来るか分からないから。
そう思って払い続けていたら、3年も経って」
「――ごめんなさい。
今、私違うの持ってるけど、
これも持って帰る。
住所や引き落とし先の変更も、また近いうちにするね」
今の私に、この携帯電話はもう必要ないのだけど
もう一度同じように棄てられない、
大切なもののような気がした
今住んでいるマンションの部屋のクローゼットの中に、
この携帯電話の充電器が何処かに押し込まれて入っているはず
棄てた記憶はないから
私はそのブルーの携帯電話を、
鞄にしまった